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ワークプログラムの歴史

ワークプログラムの歴史

ワークプログラムの歴史

1957年の欧州共同体(EC)設立以降[1]、欧州規模での研究と技術革新を支援するアイデアは常に中心的なものであった。そしてこの目的の下、いわゆるフレームワーク・プログラム(枠組プログラム)が、欧州連合(EU)における主な研究に関連した政策手段として発達してきた。欧州機関は、この新たな政策手段に資金を投入することに合意。長年にわたる予算の増加で、テーマの優先度のみならず財政支援や介入様式は、EUの新しく生まれるニーズに適応してきた。

コミュニティレベルでの全体的な開発、研究・実証戦略を提議し、実行するための最終目標として、欧州委員会は、1984年から1987年までの3年間をカバーする第1次フレームワーク・プログラム(FP1)を立ち上げた。このプログラムは7つの科学的、技術的目的に応じて分割され、その総額は37.5億ユーロであった。配分は以下の通り。

  • エネルギー資源管理の改善(47.2%)
  • 産業競争力促進(28.2%)
  • 生活、労働条件の改善(10.3%)
  • その他、農業の競争力強化(3.5%)、原材料管理の改善(2.1%)、開発援助の強化(4.0%)、コミュニティの科学的技術的可能性の有効性改善(2.3%)

単一欧州議定書[2](SEA)は「欧州の産業の科学技術基盤を強化し、国際社会レベルでより高い競争力を得るために奨励する」という目的で1986年に承認された[3]。SEAは1987年から1991年までの第二次フレームワーク・プログラム(FP2)に新たな基準を導入。このプログラムはコミュニティの社会・経済の融合を促すものである。総予算は54億ユーロであり、以下の目的に用いられた。

  • より大きな市場、情報通信社会(42.2%)
  • エネルギー(21.0%)
  • 産業界の近代化(15.7%)
  • 生活の質や欧州の科学技術分野での協力改善(5.3%)

1990年から1994年までの第三次フレームワーク・プログラム(FP3)は、総予算66億ユーロであり、欧州産業界の科学技術基盤の強化を主な目標としていた。さらに当該プログラムは、企業、研究所や大学をサポートすることにより、その研究開発活動において、地球規模での欧州の産業競争力を促すことを目的としていました。FP3の最も革新的な特徴は、研究資源が限られ、あるいは全く持たない中小企業のためにCRAFTと呼ばれる新しい計画を用意したことであった。

第4次フレームワーク・プログラム(FP4)は1998年に1994年にかけて実施され、以前のFP3に比べ予算が倍増した(131億ユーロ)。既存の研究分野(情報通信技術、産業技術、環境、ライフサイエンスとテクノロジー、エネルギー、運輸およびターゲットを絞った社会経済研究)に加えて新たに、幾つかの主だった変更が導入された。また、3つの水平的プログラム(INCO)により、成果の普及と適正化、研究者の訓練、移動性を通して、第三国や国際機関とのRTD協力推進が実施された。研究者の移動性および欧州の研究ネットワーク創出を刺激することで、今後の課題に取り組むために準備し、国や専門分野を横断し、知識共有の機会を持った研究者を作り出すことをヨーロッパは目指した。さらに、こうした活動は地球規模での欧州の研究の卓越性を拡大させ、研究体制の可能性を最大化させた。

1998年から2002年にわたる第五次フレームワーク・プログラム(FP5)では、総予算は149.6億ユーロとなり、これまでになかった方法を用いて、主要な社会経済的課題に対応するために考案された。そのため、FP5は過去のプログラムとは異なっていた。FP5は3つの主要な基準(社会の目標;、経済発展と科学技術の展望、欧州の付加価値)に焦点を当てていた。その影響を最大化するために、FP5は4つのテーマ(生活の質、生活資源の管理、ユーザーにやさしい情報社会、競争的持続可能な成長、エネルギー、環境と持続可能な開発)と、3つの水平プログラム(コミュニティ研究の国際的役割を確認すること、イノベーション促進と中小企業参加の奨励、ヒト研究の可能性や社会経済知識基盤の改善)にターゲットを絞った。第5次フレームワーク・プログラムの最も革新的な特徴は、科学から特定問題に対処する技術分野に至るまでのプロジェクト集団として定義した「キー・アクション」の概念を打ち出したことであった。

2002年から2006年にかけて行われた第6次フレームワーク・プログラム(FP6)では、予算は175億ユーロとなり、当時高度に再分化されていた欧州での研究を改善・統合・調整することで、欧州研究領域(ERA)の創出に貢献した。FP6は、活動の三つの主要な分野(欧州研究を集中・統合、ERAの構築、ERA基盤を強化)に分割された。FP6は、統合プロジェクトとネットワークの卓越性という2つの新しい手段を導入したことが特徴的であった。最初の手段は、欧州の競争力を高め主要な社会的ニーズに対応するために、特定の目的に焦点を当てた資源の最小必要量をまとめることを目標に、プロジェクトが構成された。二つ目の手段は、活動における共同プログラムに関わるパートナーを連携させ、欧州レベルで資源と専門知識の最小必要量を統合することを目標にしていた。

2007年から2013年にかけて行われた第7次フレームワークプログラム(FP7)の総予算は500億ユーロを越え、以前のフレームワークプログラムに比べ大幅な増加となった。FP7は雇用と競争力の面でヨーロッパのニーズを満たし、グローバルな知識経済の中でリーダーシップを維持するために実行された。FP7は、5つの主要ブロック(協力、アイデア、人、能力と原子力研究)を介して構造化されていた。プログラムが主要目的として特に革新的なそのアイデアは、漠然とした研究を支援し優秀な科学者をひきつけることで、卓越性やダイナミズム、創造性を強化することであった。FP7の重要な一つの側面は、多くの活動が多国籍であったことである。多くの活動は異なるメンバー国や関連国からの参加者を含むコンソーシアムによって実行される必要があった。

[1] ローマ条約は、1957年3月に、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、オランダによって調印され、正式に欧州経済共同体(EEC)が発足した。

[2] 単一欧州議定書は1986年に調印され、1987年に発効。1957年のローマ条約を初めて大規模に修正。

[3]EEC条約第130条F項

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